丹沢で軽いトレーニングを済ませ、今年の百名山1座目は、大朝日岳。コースタイムの一番短い山なので決定したが、避難小屋なので食料の準備に手間取った。問題はその食料とシュラフ等の重量増に耐えられるかだ。食料とシュラフを持つのは2012年の宮之浦岳以来なので4年ぶりだ。
【7月30日】、9:22移動開始。圏央道が東北自動車道に繋がってから始めての走行だ。八王子までの渋滞で時間が掛かったため、米沢市の上杉博物館を見学する予定を取りやめた。前泊は温泉が併設されている「道の駅にしかわ」だ。昨年の月山の時も温泉&レストランを利用し、車中泊している。
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【7月31日】 6:49道の駅にしかわ
SS隊員と合流し、車1台に3人で古寺鉱泉へ向かった。 |
7:30 古寺(こでら)鉱泉P着
駐車場に着く前から路肩に多数の車が停まっていたので、駐車場は案の定満車だったが、中央にギリギリ停めることが出来た。心配していたコスジロウ(アブ)は、まだ活動していなかったので一安心。隣の車は名古屋の6人?のグループで、先に出発して行った。 |
7:51 古寺(こでら)鉱泉Pスタート
川に沿った細い道が朝陽館への唯一の道のようで、小さい運搬車が置いてあった。 |
7:55 朝陽館(ちょうようかん)
川の対岸にある朝陽館の脇を通過し、登山道に入ると、いきなりの急登。体の準備が出来ていないので、あえぎながら登る。 |
8:30 合体の樹(休10分)
スタートから40分、いつもなら軽く立ち休憩だが、急登と暑さでバテバテ。 |
変わった花があったので撮り、後日調べると「カシワバハグマ」だった。一週間前に秦野で教えてもらった名前だ。その時は、まだ花が咲いていなかったので、今回、正体が判明した。 |
9:33 一服清水 9:49(休16分)
おいしい!初めての冷たい飲み物だ。先客と入れ替わりに丸太のベンチで休憩。休憩は長くなり、登りはペースダウン。 |
一服清水の丸太ベンチ |
9:57 日暮沢分岐 |
奇形ブナ |
掘れた登山道は直線的で急登 |
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10:47 三沢清水 11:08(休21分)
NETの記録に一服清水から30分で三沢清水とあった。が、1時間かかった。今日の異常なスローペ−スの結果だ。遅いながらも順調に登れたのはここまでだった。 |
下りの登山者が、古寺山まで急登が続くと言っていた。 |
急登になると5分と続かない。どこで何回休憩したのかも定かではない。立ち止まっているほうが長かったかもしれない。座った時に眠ったかもしれない。
最近、不整脈が多くなったが、登山中に出ても休めば回復していたのだが・・・。今回は救心が無くなったので六神丸を飲んでみたが、効かないので、「撤退」がちらついた。 |
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11:52 古寺山 11:55
山頂は5m×10程度mで、日当たり抜群。山頂に着くまでは東方向が開けていたが、山頂からは南西方向に存在感のある小朝日岳が見え、稜線の先には大朝日岳がなだらかに裾を広げている。大朝日小屋も確認できた。
展望の良い山頂だが、ここで昼食したらコゲてしまうので、日陰を探して下った。
三頭三角点:小朝日を確認 |
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古寺山三角点全景 |
三等三角点:小朝日 |
古寺山の三角点データ(2016/8/3)
基準点コード:TR35739373501
等級種別:三等三角点
冠字選点番号:信24
基準点名:小朝日
北緯:38°16′52″.8717
東経:139°56′49″.6190
標高:1501.07m
2014/04/01 正常 |
古寺山から下ると、池塘が現われるも立ち止まる余裕が無く通過。水は赤褐色。 |
登山道脇の中低木はまったく無くなり、カンカン照りの草原になる。 |
12:05 昼食(休42分)12:47
やっとの木陰。汗でグチャグチャのシャツ・タオル・などを干してから昼食。 |
振り返ってみる古寺山
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13:16 小朝日/巻道岳分岐1
巻道間は、リュックをSS隊員に担いでもらった。前後にリュックを担いだSS隊員は、足元が見えないため、巻道の地面を這って伸びている樹木は危険だったことだろう。 |
13:37 小朝日/巻道岳分岐2
日帰りの小学生が大勢帰って行く。NETで小学生でも日帰りすることは知っていたが、実際に遭遇してみると、身軽な小学生だからこそできることだろうと思った。登山経験のない大人だったら泣きを見るに違いない。登山経験だけは豊富な私も体調不良と暑さで泣きを見ている。(写真は分岐から10分位の所) |
振り返ると小朝日岳(左)の岩肌に美しさと迫力を感じる。 |
小朝日岳 |
14:20(休17分)
稜線の日陰で大休憩。後で考えたら、横になって眠れば良かったのかもしれない。これまで、鳳凰三山・飯豊山・幌尻岳とバテバテで登山道に寝たことがある。これが私のスタイルなのかもしれない。 |
14:55 ケルンのピーク
なだらかな稜線のピークに、珍しい図根点があった。 |
図根点 |
図根点は図等三角点ともいわれ周囲の三角点から観測し実際の三角点上では観測しないという前方交会法により位置を決定したものです。これは無線鉄塔などで構築物上で測量することができない場合につかわれますが精度は低くなります。本来、図根点は三角測量のあとの細部の測量につかい標石の埋設はせず、その位置が測量によりはっきりすると、すぐ測板上の図面に移してしまいます。標石として設置されるのは重要な場所や再現が必要な場所に限られますが盤石は埋設されません。図根点標石の設置は1940年、50年代が多かったのですが現在はありません。 |
15:17 銀玉水 15:41(休24分)
ケルンのピークから岩稜地帯を登ると、広場があり銀玉水の標柱が立っている。ここまで約7時間半、思った以上に時間がかかり、水分補給も多かったので、在庫が底をついてしまった。 |
こんな状態なので銀玉水 のおいしいこと。塩分のない水のガブ飲みは熱中症対策には逆効果だが、500ml以上は飲んだ。 |
銀玉水から先の登山道は石畳階段などで整備され、これまでよりは登りやすい。足取りは重いが、登山道脇のお花畑を見ながらゆっくりと登った。小屋着が遅くなるので、SS隊員には先行してもらい、小屋の手続きを頼んだ。
ニッコウキスゲがまだ咲いていたのは嬉しい。(写真右)
1日花※なので、今日咲いたニッコウキスゲは明日は見られないと思うと、見て褒めてあげたくなる。 |
※属名のヘメロカリス Hemerocallis はギリシャ語の「hemera(一日)+callos(美)」からきている。この属の植物の花は一日でしぼむことから名づけられた。 |
ハクサンフウロ |
銀玉水から上のお花畑だけで、名前が解る花が20種以上は咲いている。 |
16:51 大朝日小屋ゴール
往路9時間(歩6:50分+休2:10分、コースタイム5:50分)
計画時間は7:30だったので、1:30超過でゴール。
今日の体調では撤退せず登れただけでも嬉しい。SS隊員は先着のGrと管理人さんと酒宴の最中だった。今日の宿泊者は2+3+3+6=14人(概算)だが、前日の土曜日は50人で、外で食事するような状況だったらしい。ヒメサユリや紅葉シーズンはもっと恐ろしいことになるのだろうか?。 |
小屋の2階
小屋の1階はWCと管理人室、予備スペースで登山者の宿泊は2階になる。(宿泊協力金¥1500)収容人数100人となっているが、2階は50人で満員と思われるので、3階と1階に50人だろうか?
隣の名古屋Grは早々と夕食中だったので、我々も夕食にした。今日のメニューはフリーズドライのカレー・α米のごはん・黒豆・水ようかん・コーヒー。 |
1階の入口 |
銀玉水を過ぎた所に黄色いトランシーバーが落ちていたことを管理人さんに伝えた。小学生の引率をしていた大江山岳会のものではないか?と、電話で確認すると、その通りだった。外は薄暗くなったが、管理人さんが回収に出かけていった。ウトウトしていたら「あったよ」と声が聞こえた。
深夜に夜空の星がキレイだったので、副隊長を起こして連れてきたら、ガスで真っ白。
管理人さんに擬似ブロッケンを教えてもらった。指にヘッドライトを当てて、雲に影を作るとブロッケンが出る。光源がLEDのためか?本物より虹色が少なかった。 |
△△△△△【8月1日】△△△△△ |
4:00 起床、4:28朝日連邦の朝5:03
昨日の苦しかった登りが報われる朝だった。モルゲンロートと雲海、小屋泊りの特権を味わう。鳥海山と月山が並んで雲海に浮かんでいる。
朝日は厚い雲の上から出たのでイマイチ、カメラもイマイチだったので、良い絵は撮れなかったが、朝日が出るまでの刻々と変わる景観が素晴らしかった。
管理人さんには祝瓶山の素晴らしさやら色々な山のことを教えてもらった。10日経った現在は記憶が飛んでしまったようで、全部は思い出せないがその時は至福の時であった。 |
4:32 大朝日小屋から北北西方向 |
4:32 北方向、雲海の先に、モルゲンロートに染まる鳥海山と月山 |
4:51 北方向、雲海が滝のように流れている。今回はコンデジなので流れる様は写せなかったのが残念。
後日、中央のトンガリを調べたら、大朝日小屋から北方向13.5kmの障子ヶ岳1482mと推測される。 |
5:01 待ちかねたご来光は小朝日岳の右側から昇った。厚い雲が無ければもっと良かったが、足るを知る。 |
5:41 朝食
私は松茸ごはんの予定だったが、昨日の残りの赤飯おにぎりと味噌汁。副隊長は雑炊+夕食の残りごはん。他に煮卵・五目豆・梅干・ソーセージ・コーヒー。
銀玉水2L位は、二人の夕食・朝食・飲み水でほとんど使ってしまった。SS隊員は水のやり繰りが上手で残っていたので、分けてもらい、金玉水には行かずに済んだ。
6:53 大朝日小屋スタート
小屋にリュックをデポし、大朝日岳へ出発。今日も快晴。昨日の不調は治り普通に歩けるようになった。(と言ってもほとんどの登山者より遅い)
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3分登っただけで、大朝日小屋越しに鳥海山・月山 |
7:03 山頂上に着く前に、振り返った山並みが美しく、足止めされる。
ウスユキソウ、ウメバチソウ、ヨツバシオガマ、リンドウ、トリカブトなどの花々が咲き、南方向には飯豊連邦も見えてきた。 |
7:09 大朝日岳山頂 7:29 (休20分)
遠くから見て大きかった大朝日岳の山頂は尖がっていて意外と狭い。20m×10m程度だが真ん中は石が積み重なっていて平らな部分は少ない。我々3名しかいないので問題ないが、大勢の小学生が登ったらおしくらまんじゅうになるのでは? |
山頂には、山名標柱兼方位盤と三角点がある |
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二等三角点:朝日岳、全景 |
標石 |
大朝日岳の三角点データ
(2016/8/3)
基準点コード:TR25739371301
等級種別:二等三角点
冠字選点番号:美7
基準点名:朝日岳
北緯:38°15′37″.9186
東経:139°55′20″.3538
標高:1870.66m
2014/04/01 正常 |
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南方向は、飯豊連邦。飯豊山は左の雲が掛かっているあたりで、祝瓶山の背後が大日岳
祝瓶山は管理人さん推奨の三百名山 1417m
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西方向は、日本海側。オッパイのような鷲ヶ巣山の奥に佐渡が薄っすらと広く見えていたが、写真では捕らえられなかった。 |
北〜北西方向のパノラマ |
360度の展望で一番は以東岳へ続く尾根で、飯豊山の山並みと似ている雰囲気があった。二番は鳥海山と月山、三番は飯豊連邦、4番は佐渡島方向と言った感じ。蔵王・磐梯山・吾妻山は雲で見えなかった。
小さいリュックの登山者が登ってきた。日帰りですか?と聞いたら、以東岳から2泊3日の縦走で竜門小屋から来たそうだ。日帰りリュックに食料とシュラフを入れて縦走は恐れ入った。当然マットなどは持たないで7kg位らしい。我々の1泊2日のリュックで8kg〜10kgなので、まだまだ軽量化の余地があるのかも?。脚力があれば歩く時間が短くなり、水の量も少なくて済む。究極はトレランのようになる。我々はその対極で、時間がかかるので水が多く必要で重くなり、日帰りが出来ないのでシュラフ・食料・衣類が増え、更に重くなる。脚力不足に加え、加齢による要因も発生し、難儀な山行が続く・・・と小さいリュックを見て思うことが多い。
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7:41 大朝日小屋 (休10分)
コースタイム25分の所、28分で往復した。(休憩込みで43分)上出来。
7:51 大朝日小屋再スタート
管理人さんと記念写真を撮ってから下山開始。お花畑を下っていると山頂方向にガスがかかって来た。我々は日差しが弱くなって助かるが、これからの人には気の毒である。 |
7:56 良い山には後ろ髪引かれる |
8:14 銀玉水 8:24(休10分)
空ペットボトルにスポーツドリンクの粉を入れてきたので、給水する。先に粉を入れると溶けにくいことが解った。
山頂で会った小さいリュックの登山者が追いついてきた。彼は朝日鉱泉に下るそうだ。 |
9:13 小朝日岳/巻道分岐2
私と副隊長は膝温存のため、小朝日岳はパスし巻道を選んだ。SS隊員は体力があるので小朝日岳に登ると思ったが、週末の山行に備えてパス。大朝日岳に登って心が満たされてしまった結果だろう。
11:37 一服清水 12:02(昼休15分)
行動食と予備食で軽く昼食を済ませ、ラストスパート。
一服清水から20分ぐらいで、雨粒を感じ始めたので念のためリュックカバーを付けた。
13:18 朝陽館
SS隊員が先に朝陽館に着いたが、鉱泉は沸かし湯なので、まだ準備中とのこと。折角なので入りたかったが、通過した。
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13:22 古寺鉱泉Pゴール
最後まで雨にはならず、カンカン照りにもならずにゴールできた。駐車場の中央に我々の車がポツンと残っていた。
復路5時間31分(歩4:34分+休57分、コースタイム4:00分)
計画時間は5:00〜5:30だったので、センボク隊では普通。
昨日満車だった駐車場は10台程度になっていた。昨日の朝はいなかったコスジロウ(アブ)が車を取り囲むため、ドアを開けるたびに車内に進入してしまう。たまらず駐車場を脱出し、数匹のコスジロウを捕まえては放り出す。被害は無かったが、難儀な虫である。 |