今年は5月から膝の痛みが始まり、6月の月山で悪化。その後、何度かのトレーニングと悪化を繰り返し今日に至っている。薬師岳の計画は当初1泊2日だったが、2泊3日に変更し、下りを3時間程度に抑えた計画を立てた。
シルバーウィークになり太郎平小屋関係のHPに激混みの情報があったので、シルバーウィーク後半の9/22・23連泊を予約した。結果は9/22が布団1枚に1人、9/23は布団4枚部屋を2人で使うことが出来た。
他の小屋の激混み情報を聞くにつけ嬉しくなる。薬師岳山荘は9/22も布団2枚に3人、9/20の三俣山荘にいたっては布団3枚に8人という状況だったと聞き驚いた。
膝は登りでは問題が無いので、薬師岳山荘まで行けたと思うが、帰りの事を考えて、下りを二日に分散した。結果、下山後に多少の痛みがあるものの、登ることができた喜びと相殺された。
登山前日の9月21日夜に折立に向かうと駐車場よりかなり手前のトンネル内から路駐が始まっていた。(後日、地図で確認すると600〜700m位の路駐だった)駐車場に着くと幸運にも1台分の空きがあり、停めることが出来た。トイレ&登山口まで100m程度の好位置だった。登山口付近のバス回転で駐車禁止になっている所にも停めている。この異常な状態が山の上でも起きていることだろう。明日からは平常に戻っていることを願って就寝。 |
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9月22日(火) 4時間57分(歩4:10分+休47分)、コースタイム5時間、計画7時間
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5:42 朝起きたら、隣の車が入れ替わっている。昨晩8時頃にラッキーな女性2人組みが停めたそうだ。彼女達は薬師岳山荘泊とのことで出立して行った。写真は登山口方向。左が大きい駐車場で、右が今回停めた駐車スペース。
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7:11 折立P発
7:14 薬師岳登山口 1,356m
標柱、「中部山岳国立公園 薬師岳登山口 標高1,356m」から入る。ここにもトイレあり。
入口左手の愛知大学山岳部員を供養する慰霊塔(十三重之塔)に合掌。
※昭和38年(1963年)1月、薬師岳登頂を目指した登山隊は、猛吹雪と寒気のため13人が遭難死すると言う痛ましい事故が起きています。
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30分、1時間で休憩をいれて、いつもよりゆっくりと登る。
北ア百名山周回縦走のお姉さんと同じペースで、彼女は6泊の予定とか?。我々より重装備で辛そうだった。
周回縦走で下山の男性は20日の三俣山荘で布団3枚に8人だったと言う。混雑が解っていても、仕事があるのでずらせないと嘆いていた。ずらした我々はラッキーかも?。 |
8:59 三角点 1,870m(休13分)
ベンチが多く、10数人が休憩中。トンネルから出たように展望が開け、薬師岳の山なみが目の前にある。が、ピークが多く、どこが山頂か解らない。※登った後の復路では、どこから見ても山頂が解った。 |
三角点はベンチ手前の白い標柱の所にある。 |
三頭三角点:青淵、1869.91m |
三角点を出発すると左になつかしの剱岳・立山が頭を出したので、リュックから一眼を取り出す。(Sony
NEX5R) |
再び樹林帯の中に入り、樹林帯を抜けた所で登山道は木道や敷石になり、大きな段差も無く草原歩きのような気分。 |
9:25 木道を少し進んだ右手に赤・黒・黄色の縞模様ポール目立つ。(積雪量調査用らしい)地図の1,934m峰はどこだったのか?気が付かずに通過したらしい。 |
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10:51 ナナカマドと薬師岳 (Sony TX30) |
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10:57 2,189m五光岩ベンチ(休20分)
2189m地点のベンチ。正面に太郎平小屋が小さく見える。これでは昼前に太郎平小屋に着いてしまいそうなので、昼食休憩。
往路で登山道付近を見渡して五光岩なんて見当たらないと思ったが、復路で五光岩は岩山のことだと教えてもらった。 |
10:58 五光岩付近で剱岳&立山を再び撮る。(Sony NEX5R)
なぜか剱岳や槍ヶ岳が現れると写真を撮ってしまう。小さくても薄くてもやっぱり撮る。 |
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12:08 太郎平小屋(泊)2,330m
左写真のゆるやかな敷石の道、これが見た目より疲れる。
太郎平小屋まで計画では14時着だったが、コースタイムの5時間で着いた。若者は甘いコースタイムだと言っていたが、丁度だった。
時間的には薬師岳山荘まで登れそうだが、二日目に折立まで戻るのは膝に負担が大きいので今回はここで停滞。
受付を済ませ部屋にリュックを置いて散策に出かける。 |
12:45 太郎兵衛平(太郎平小屋まえの広場)で休む幸せな人たち。登る人は目の前の薬師岳を見てもう一がんばり。
下る人は小屋の生ビールの誘惑に心が揺れていることだろう。(車があるので) (Sony NEX5R) |
12:47太郎兵衛平から東南方向は北アルプスの核心部。延髄の山なみだ。折立を起点に水晶〜黒部五郎を周回する人が多いのに驚いた。神奈川から折立はアクセスが悪いので、周回を考えたことが無かったが、来て見て納得。新穂高起点より楽しいかもしれない。もし、膝が良くなったら、挑戦してみたいものだ。(2泊以上は未経験だが) (Sony NEX5R) |
12:49 太郎山散策30分
太郎山は小屋の裏(南西)にある。途中、振り返ると薬師岳が大きく聳え、赤い屋根の太郎平小屋とのツーショットが素晴らしい。 |
黒部五郎岳への縦走路途中の分岐から山頂に行く。山頂はケルンのように石積みされている。次々と暇な人が来るが、タッチアンドゴーで帰っていく。我々はしばし座って薬師岳を眺めた。
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山頂標識 |
三等三角点:太郎 2372.98mを確認。 |
13:29 太郎平小屋に戻る |
今夜の寝床は下段に4人。布団1枚/一人 |
小屋に戻り、ビールを飲んで暇つぶしし、17時から夕食。ここで問題発生。副隊長が高山病?で嘔吐がひどいため夕食が食べられなかった。少し前までは何とも無くビールを飲んでいたし、標高も2,330mしかないので甘く見ていたようだ。小屋番さんから塩おにぎりを頂いて、回復後に食べた。かわいい小屋番さんアリガト。
太郎平小屋は、シーズン中診療所及び富山県山岳警備隊が常駐し、夕食後に警備隊長よりお話があった。楽しく自己紹介の後、登山事故の話があり、太郎平小屋で高山病により肺水腫になった人がいたそうだ。今後は2,000m台でも注意する必要がある。 |
22日の夕食 |
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9月23日(水) 8時間7分(歩6:09分+休1:58分) コースタイム5時間30分、計画9時間
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副隊長の高山病は治まり、今日は朝食をとることができた。高山病対策は頭痛薬の使用で、白馬岳頂上宿舎の昭和医科大学診療所で教えてもらって以来、この方法でしのいでいる。外国の高山ではダイアモックスを使うらしいが、日本では処方箋が必要なことと、それほどの高山が無いので、市販の頭痛薬・ノーシンを服用している。(アセトアミノフェン)。バファリン(アスピリン)の方が胃にやさしいらしいので今後試してみたい。いずれにせよダイアモックスのように酸素の取り込みを増やす効果は無いため、高山病を隠すことになるので、体調管理・水分摂取が重要と思う。
昨晩、隣の男性の大いびきは、耳栓を使っても聞こえるくらいの轟音だった。それが止んだと思ったら、夜が明ける前からガサガサが始まった。早立ちなら何で前夜に用意をしないのだろうか?山小屋では宿命的なことだが、なかなか慣れないものだ。 |
9/23朝食 |
6:09 太郎平小屋発 2,330m |
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6:13 出発したが、日の出と重なり写真が忙しくて進めなかった。薬師岳東南尾根のP2650付近から朝日が昇った。
既に明るくなっているのでモルゲンロートは見られなかったが、水晶岳から黒部五郎の山なみに斜光が射すさまは、ため息が出るほど美しかった。感動の連続で10分位の間、ほとんど進んでいない。(Sony
NEX5R)
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6:22 草紅葉が朝日を浴びて金色に輝いている。(個人的感想です) (Sony NEX5R) |
池塘 |
6:23 やっと薬師岳へ向かう。木道は凍り付いてツルツルなので、ペタペタ歩く。木道に彫られた溝が無ければ歩けないだろう
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6:42 薬師峠キャンプ場 2,294m(Sony TX30)
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7:04 薬師峠から岩ゴロの涸沢(休20分)(Sony TX30)
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薬師峠に着く前に、数人のテント泊と思われる大きなリュックの登山者とすれ違ったが、テン場にはまだ30張り位残っていた。薬師峠は今回のルートでは紅葉が一番鮮やかだが、テントはさらにカラフルだった。
薬師峠からは岩ゴロの涸沢登りになる。この登りで私のエンジンがバクバクと悲鳴を上げて、数歩でパワーダウン。小休止、大休止を繰り返し、実際の所、停まっていた時間の方が長かったかもしれない。救心様におすがりしたが、薬師峠から薬師平までは魔の1時間であった。これまでダウンして寝てしまうことはたびたびあったが、今回は睡眠十分で体調は良いのだが・・・。ひとつ年齢を重ねるたび、これまでと違ったリスクが増えてくる。
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7:57 薬師平 2,480m
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沢を登り詰めたようで、木道が現れ一息つく。数分先にはベンチがあった。光を浴びたチングルマ、青空と真っ赤なナナカマドがきれい。更に槍穂も姿をあらわした。
ここで、折立駐車場で隣に停めた女性2人組が下山してきた。昨日の薬師岳山荘は布団2枚に3人とのこと。太郎平小屋よりはギューギューだが、耐えられる範囲だろう。我々も木曽殿山荘で味わったが、夜中にトイレから戻ったら自分のスペースが消滅していたということがあった。 |
チングルマ、光ってます(Sony TX30) |
ナナカマド、良い仕事をしています(Sony TX30) |
8:05 標高が上がり奥穂高岳も姿を表わした (Sony NEX5R) |
8:05 黒部五郎岳、いつも大きい。待ってろよ! (Sony NEX5R) |
薬師平からガレた登りになる。もう少しで錦秋になるであろうカールを眺めながらゆっくり登ったこと、エンジンが回復したことで、気持ちよく登れた。
我々は日本で一番遅い夫婦を自負していたが、もっと遅い老夫婦(我々より)がいた。ここで、一番を譲り、我々は二番となった。老夫婦のご主人は足がつるというので、副隊長手持ちの芍薬甘草湯(通称68)を2包譲った。ご主人は我々より健脚のようだが、奥さんを待っていて冷えるのかもしれない。 |
8:26 振り返ると鷲羽、槍、奥穂、黒部五郎のパノラマ。谷筋は、もう少しで錦秋。 (Sony NEX5R) |
8:26 東南尾根方向のカール(Sony TX30) |
9:00 草紅葉が鮮やか。前方には幾つものピークが見える。一つ越えたら薬師岳山荘だ。(Sony
TX30) |
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9:05 薬師岳山荘 2,701m9:17(休12分)
ここで昼食の予定なので、メニュー覗きに入ったら、麺類は無くなり、ご飯ものは11時頃ならOKとのこと。初めて弁当なしの山行なので、予約?してから前峰のピークに向かった。 |
9:41 下ってきた人が山頂より景色が良いと言っていたので、振り返るとこれまで見えなかった木曽駒ケ岳、笠ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山まで見えた。肉眼では御嶽山の噴煙が確認できた。(Sony TX5) |
昨日の往路で、山頂より高く見えたピークには、小さい石室があり屋根は朽ちて無くなっている。横になれるほど広くはなく、立って2人位の大きさだった。地図には避難小屋とあったが、「避難小屋跡」のようだ。 |
9:56 ケルン
折立登山口にあった愛知大学山岳部員遭難事故慰霊碑の現場がこのケルンから先の東南尾根らしい。合掌。
遠くに雲が湧き、北アルプスの山々が若干霞が掛かってきたようだ。山の天気は解らないので今のうちに写真を撮りまくる。 |
10:03 左の低く見えるピークに何やら建物が見えるので、山頂だろう |
10:19 薬師岳山頂 2,926m (休53分)
山頂にはお社があり、標柱付近は岩ゴロで狭いが、お社の東と西に若干のスペースがあった。
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これまで見えなかった剱岳・立山も加わり、夢中で写真を撮る。標柱付近には三角点が見当たらないので、薬師岳には三角点が無いと思っていた。帰宅後に三角点を調べるとお社の東側にあった。そこは最初にリュックを置いた付近なので、「灯台下暗し」だった。
でっかいリュックのお兄さんに写真を撮ってもらった。彼は入山して20日目でまだ2週間分の食料があるという。まるで山に住んでいるようで、コミックの「岳」の主人公のようであった。
お社の西側は風が少ないので、他の方々も休憩中で、ラーメンの匂いがたまらない。休憩している間に雲が出てきたが、雲までがかっこいい!、で、また写真。 |
10:32 北北東方向、山頂に立ってこれまで見えなかった、剱岳・立山が現れた。
剱岳が奥で立山が手前、立山の三峰が重なって以外?に立派に見える。 (Sony TX30) |
10:33 北北東方向 山座同定も面倒くさくなるほどの山なみ。白馬岳は立山の陰かも?(Sony
NEX5R) |
10:34 東南方向 1時間前は乗鞍、御嶽も見えたが、かすんでしまった。(Sony
NEX5R) |
11:12 下山 (Sony NEX5R)
昼メシなしで1時間ほど山頂にいた。日本一足が遅い夫婦の到着を待ち、写真を撮ってあげてから下山。 |
11:54 薬師岳山荘・昼食12:27(休33分)
山荘のテラスでカレーライスと牛丼を頂いた。中を覗くとピカピカ、出来ればこの小屋に泊まりたかった。 |
ミヤマリンドウ (深山竜胆)
13:08 薬師平付近 (Sony TX5) |
12:59 薬師平付近で、かすむ槍ヶ岳とツーショット(Sony TX30)
13:48 薬師峠のテントサイトが真っ赤なナナカマド付き。誰かがこのラッキーサイトに泊まったのだろう。 |
14:16 太郎平小屋着(泊)
連泊でも当日受付との事で、宿泊手続きをする。今日の寝床は2階。1階に変えて欲しかったが、布団4枚の部屋に2人だけなので良しとした。難敵のハシゴは以外と問題なかったが、夜中の上り下りは辛い。
今日は心臓の調子が悪かったので、その時はビールを止めようと思ったが、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」の通り、またビールを飲んでいる。 |
23日の夕食 |
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9月24日(木) 3時間44分 (歩3:21分+休23分)コースタイム3時間10分、計画5時間
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24日の朝食 |
昨日の老夫婦より、薬を飲んだら足がつらなかったと、しきりに感謝された。薬は2包み減ったが、それ以上の幸せが増えた気がした。
6:33 太郎平小屋発
今日の天気予報は、昨晩の時点で晴れ/曇り、今朝は曇りに変わっていた。外は薄曇りだが視界は良好だった。
膝の痛みも無く快調に下る。 |
6:46 白山 (Sony TX30)
往路の時より白山がクッキリ見える
後で考えると、これは雨の兆候だったのかも? |
7:18 五光岩ベンチ(休5分)
往路でわからなかった五光岩(矢印) (Sony TX30) |
8:35 三角点(休10分) |
めったに無いことだが、五光岩でご老人を追い越した。しかし、そのご老人は超人だった。これまではあえてゆっくりしていたらしく、三角点で越され、樹林帯に入ったら追いついて行けなかった。
三角点からの急な登山道を登ってくる青年のリュックがでかい!でかいのは太郎平小屋へのボッカ30kg位とのこと。驚いたまますれ違ってしまった。我々が恩恵に預かっているのだから、お礼を言えば良かったと悔やんだ。と思っていたら見覚えのある人が登ってきた。太郎平小屋のネパール青年ではないか。更に大きい荷物は35kg!、今度はお礼を言うことができてスッキリ。彼は日本語が上手で、ネパールトレッキングのガイドさんらしい。
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10:06 薬師岳登山口(休8分)で靴のドロを落とし、駐車場へ。
10:17 折立Pゴール
山小屋はだいぶ空いてきたが、駐車場は所々に空きが数台分あるだけだった。まだまだ多い車、この人たちはどこに行っているのだろうか? |
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