かなり前から飯豊山の計画をたて、川入・小白布沢・葡萄沢・大日杉からのコースを検討していた。ところが喜多方市からの道路が通行止めで川入がNG。山形側から小白布沢へ入れるかもしれないが、民宿宿泊者専用林道なので閉鎖されているかもしれないのでNG。
残る大日杉か川入切合(葡萄沢)※を検討した。
大日杉は正規ルートで安心。一方、川入切合(葡萄沢)は標高を稼げるが、コースタイムなど未知数な部分が多く、利用者が少ない。どちらの登山口にするか、現地についてからも迷った。大日杉への分岐でも悩んだ。結果、情報が少ないルートを登って、情報を発信する側になろうと目論んで、川入切合(葡萄沢)に決定。
※2013年6月15、山形県飯豊町と福島県喜多方市を繋ぐ飯豊檜枝岐線の飯豊トンネルが開通した。そのトンネルの入口の川入切合(葡萄沢)登山口は標高830mで、飯豊の登山口としては高い位置にある。 |
7:30 飯豊トンネルの東側
左が3台可能のP、登山口は道路向かいにある |
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飯豊トンネル前に60台位の駐車場があると、情報を得ていた。しかし、駐車場はあるものの、入口にトラロープが張られ、関係者以外NGとなっている。(左写真)
登山者=関係者だろうか?
。トンネル近くに3台分のスペースがあり、1台しか停まっていなかったので、そこに停めた。 |
7:49 川入切合登口(葡萄沢口)スタート
GPS≒833
我々の車を含めて2台だけなので、不安だったが、3台の駐車スペースの横には登山届けのポストがある。ということは正規ルート扱いなのかも?登山届けを出して、スタート。
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少し進むと「飯豊山川入切合登口」の標柱。なぜ奥まったところにあるのか疑問だ。 |
登山道は下草が刈られているが、道が細く足元が危うい。頭も枝が危ない。お助けロープもある。丹沢で言えば地図に無いバリエーションルートのような感じだ。 |
8:26 川入切合 H=1,000m、五枚沢登山口からのルートに合流。道標では我々が登ってきた登山口が「飯豊町ブドウ沢口」となっている。川入は紛らわしいので、このブドウ沢が解りやすい。 |
半端じゃない急登にあえぐ。土斜面なので、下りが怖い。花はギンリョウソウだけで、急登に加えて鬱蒼としている。
予想外の急登に加えて、またアクシデント発生。なんとサイフを車に忘れてきた。こんな時のためにリュックに予備費を入れていたが、今回はその予備費も入っていない。副隊長が1万円持っているだけ。
切合小屋の連絡先に電話してみると、小屋の人に話をして後払いで良いと言う。助かった、戻ったら2時間のアルバイトになるところだが、その段階で切合小屋は時間的に無理だったろう。それにしてもこの山域で電話が通じたことに驚いた。 |
9:26 五段山1,312m(休)
ここは大日杉への分岐でもある。と言うことはこれから先は利用者が多いのではと思ったが、誰にも会わない。登山道も踏み跡は少ない。初めて視界が開け、飯豊の稜線の一部が見えた。 |
ギョェ〜登山道の真ん中に水芭蕉!稜線の登山道なのに湿地帯となっている。田んぼのようなぬかるみではないが、油断すると靴が埋まってしまう。 |
10:19 牛ヶ岩山1,402m
ピーク感の無いフラットな山頂で小休憩。 |
牛ヶ岩山の山頂付近には池塘があり、お約束のモウセンゴケ。 |
10:27 五枚山
古い看板には「オ豊ノ池」←「五?山」→「牛ヶ岩山」とある。
五?山=五枚山と思われるが、真意は不明。この山域のHPを見ても気にしている人はごく少数。
看板にあった「オ豊ノ池」は見逃してしまったようだ。 |
11:00 御前山
古い看板には「地蔵山」←「??山」→「オ豊ノ池」とある。
??山=御前山と思われる。地面に置いてあるだけなので、山頂の場所も定かではない。しかし、地図に山名が載っていない山こそ大事にしなければと、勝手に思う。 |
11:09 (休35分)11:44
約3時間、急登にアップダウンの連続に疲れた。体育座りで休憩していたら、あっという間に爆睡してしまったようだ。(本人は30分も経った気がしない)
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鬼太郎の親父現る。「オイ、キタロー」と言っているような花は「ギンリョウソウ」なのだが、今にも歩いてきそうな雰囲気。 |
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12:03 地蔵山1,485m
地蔵山の少し手前から三国小屋を捉えた。(写真右奥」)
ここの池塘?池?は「血ノ池」というぶきみなネーミングだ。この近くに地蔵があるはずだが、見逃してしまった。
※後日「血ノ池」について調べると、鉄分を含み赤い色の水をしていたらしい。現地では草が生い茂って色は見えない。 |
五段山〜地蔵山の稜線は湿地があり、湿地好みのギンリョウソウ、キンコウカ、モウセンゴケが見られ、マイズルソウは全域に群生している。他にはコメツツジ?、ウラジロヨウラク、ツマトリソウ、シロバナハナニガナ、ハナニガナ、ミヤマキンポウゲ、カラマツソウ、イワイチョウ、などが咲いている。
12:10 水場分岐
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湿地帯から下ると飯豊山の山並みがみえる。、同定している暇はないので先に行く。
12:30頃から岩場になり、このルートで 初めて人に会った。小学生位の子供とお父さんが岩稜を下ってきたので、今日初めて、他の登山者と話をした。昨日、天気が大荒れのため、本山小屋に停滞し、今日下山してきたとのこと。飯豊トンネル前に停まっていた車ですか?と尋ねると、その通りだった。と言うことは、本日このルートを通るのは2組だけ?。超マイナールートを選んでしまったようだ。 |
岩稜を登るとまた岩稜。
アタック中の副隊長。四足歩行でがんばる。 |
13:00 剣ヶ峰(休9分)
危険な岩稜が飯豊では普通の登山道だ。鎖は最小限で安全は自己判断となる。緊張を強いられるので、剣ヶ峰で一息入れる。
剣ヶ峰からは厳しさ倍増。巻き道なんて甘い期待はしない方が良い。しかし、要所の岩にステップを彫ってあるので助かる。 |
ガシガシ登る副隊長。まるで四国の石鎚山のようだ。剣ヶ峰から先は岩稜の頂点を綱渡りするような感じで、バランスを失うと命はないだろう。
岩稜途中の水場は、ガレた崖にトラロープを垂らしてあった。後で、三国小屋の管理人さんと話をしたら、飲み水はガケ下から汲んでくるそうだ。 |
13:28 三国小屋・三国岳1,644m
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小屋の管理人さんは東北の良い人と言った感じで、話がとお酒が大好きなようだ。どのルートで登ってきているのか尋ねると、小白布と言う。どうやら、林道閉鎖はしていないようだが、駐車
場は狭いらしい。川入切合(葡萄沢)より1時間位早いらしいので、惜しいことをした。でも、飯豊はどのルートも時間がかかる。それが飯豊だと自分に言い聞かせた。
弥平四郎ルートから大きなリュックの人が来た。弥平四郎の稜線から剣ヶ峰の方をずっと見ている赤シャツの人がいたと話したら、それは自分だと言った。なるほど赤シャツだ。どうやらバテバテでゆっくり休んでいたらしい。彼は管理人さんと話し込んでいるので、このまま引き止められるのでは?と思った。(次の日に会ったときに聞いたらやはり三国に泊ったとのこと)
13:49 三国小屋発(休21分)
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地蔵山を過ぎてからの花は、ミヤマクルマバナ、カンチコウゾリナ、コゴメグサ(マルバコゴメグサ※)、オトギリソウ、ミヤマホツツジ、などが咲いている。三国小屋前にはセンジュガンピ、ミヤマクルマバナが咲き、管理人さんが書いたと思われる漢字の名前が付いていた。
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13:59 三国小屋から先のルートもアップダウンが激しいようだ。後日調べたら右側のピークが地図にある1,719m峰で、七森山というらしい。 |
ハシゴあり、鎖場あり。アップダウンを繰り返す。
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14:30 七森山 1,719m。(休14分)
山頂の岩盤で休憩した。山名標識は見当たらなかった。
進行方向に飯豊山らしき山を捉える。(南峰だった)
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15:13 岩峰を越える。写真は三国岳方向。 |
15:22 種蒔山
遠目に大きい山だったが、着いてみると、標柱があるだけで山頂感がない。若干、巻いていたのかもしれない。この時点で思考能力は著しく低下し、疑問もない。 |
種蒔山からは雪解けが遅かったと見え、ショウジョウバカマ、コイワカガミ、チングルマなどの雪解け後の花が咲いている。また、遅い雪解け効果で、ヒメサユリの群生地を見ることができた。ピンクでも濃淡があり一輪一輪表情が違う。朝日岳のヒメサユリは有名らしいが、飯豊で堪能できたので、朝日岳は紅葉の時期にしようかなどと思いを巡らした。ヒメサユリで満足していたが、ハクサンコザクラも現れ、進めない。 |
ヒメサユリ |
三国小屋〜切合小屋の花
ニッコウキスゲ、ミヤマクルマバナ、タテヤマウツボグサ※、ヒメサユリ、カラマツソウ、アカモノ、ハクサンコザクラ、タカネマツムシソウ、・・・・・・・・・・など30種以上 |
ミヤマキンポウゲと思われる花の一輪だけが白い花びらだった。これは新発見か? |
これまで種蒔山が立ちはだかっていたが、今度は草履塚が大きい。 |
15:53 切合小屋ゴール(泊)
小屋に着き、早速、持ち合せが無いことを伝えたところ、イヤな顔もせず承諾してくれた。初めての失敗が東北で良かった。三国小屋も切合小屋も人が温かい。 |
17:00 夕食は定番のカレーを2杯頂いた。缶ビール350が¥800円だったかも?。小屋には食堂がないので、ほとんどの人が外で食べた。食後の散歩に テン場へ。単独男性1名のみ。今日、御西小屋まで行ってきたそうで、明日は大日杉に下ると言う。大日杉から切合は7時間位だったとのこと。 |
先客に20人位の団体さんがいる。彼らは明日、大日岳を往復し、切合に連泊するとのこと。行動予定は12時間。なんとタフな人達だろう。その中の一人(福岡からの参加)と夕焼けを見ながら話をした。夕日は御西岳に沈み、
夜のとばりが下りた。
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☆☆☆☆☆ 深夜、夜空を見上げると満天の星。久々に天の川が良く見えた。
小屋には電気が一切ないので星座観測にはもってこいだが、首が疲れた。☆☆☆☆☆ |